債務整理をすると、持ち家に住み続けることは出来るのか?
一度マイホームを購入したのであれば、借金が膨らんで債務整理をしなければならなくなったとしても、せっかく買ったマイホームを手放したくないと思う人の方が多いでしょう。
マイホームを購入する際には、多くの場合住宅ローンを利用する人がほとんどです。
そもそも住宅ローンが残っているマイホームには抵当権がつけられています。
抵当権とはもしも住宅ローンが払えなくなってしまった場合に、債権者が住宅ローンの回収をするために、土地や建物を優先的に、そして強制的に売ることができる権利を意味しています。
つまりもしも住宅ローンの支払いができなくなってしまった場合には、強制的にマイホームが売られることとなります。
このように強制的にマイホームが売られることを競売と呼んでいますが、競売で得た代金は住宅ローンの支払いに充てられることとなります。
当然のことながら、もしもマイホームが売られてしまったのであれば、今後住み続けることはできないでしょう。
債務整理を考えている人の中には、整理を行ったら持ち家に住み続けることができるのかと不安に思う人もいるでしょう。
そもそも借金の整理する方法としては様々な方法があげられ、主なものとして自己破産、個人再生、任意整理などがあげられます。
そして持ち家に住み続けることができるのかということに関しては、この方法のうちどれを選ぶかによっても異なります。
住み続けられるかどうかは、手段によって違ってくる。
まずこの中で任意整理を選んだのであれば、住宅ローンに関しては何も変わらないため、マイホームを手放す必要はないでしょう。
任意整理とは債権者と将来利息のカットなどを交渉したうえで借金を減らす方法をさし、住宅ローンの債権者とは、そもそも交渉をすることはありません。
つまり任意整理を行ったとしても住宅ローンにしては何も変わることはなく、任意整理を行った後の借金の返済と、住宅ローンの両方を支払い続けることによって、持ち家に住み続けることができるようになります。
しかし任意整理に関しては、払い過ぎた利息がある場合にのみ元本を減らすことができます。
将来利息をカットして元本部分を 3年ほどで分割して返済することになるので、月々の返済額を減らしたとしても、住宅ローンと両方の返済を行っていくのが難しいという場合には、ほかの整理方法を考えなくてはなりません。
次に個人再生についてです。
個人再生とは借金の元本を5分の1までに圧縮できる方法をさし、個人再生の中には住宅ローンにおける規約があり、これを使うことによってマイホームが強制的に売られてしまうのを回避することができます。
通常の個人再生だけでは、住宅ローンを圧縮する効力よりも抵当権を優先させることができるため、マイホームの競売が避けられない状態になってしまいます。
しかし個人再生とは経済的に再生させることを目的とした方法であるため、生活するうえで必要となるマイホームを守っていくために、住宅ローンについての規約が設けられています。
この規約については、債務者がこれから再生計画にのっとって個人再生をするので、住宅ローンの債権者はその間に競売しないこと、そしてその代わりに元本や利息を全額返済していくというものです。
住宅ローン以外の返済について圧縮することとなり、それに並行して住宅ローンを今までと同じように返済していくことになります。
圧縮された借金を返済する際に、その支払いに支障が出ないように、この期間中は住宅ローンの支払い額を少なくすることも可能です。
この場合、住宅ローンの元本や利息が減るのではなく、支払い期間を延長することによって調整する方法をとります。
このように個人再生を選ぶのであればマイホームを手放すことなく、債務整理を行うことができるでしょう。
しかし個人再生後の返済と住宅ローンの支払いを並行して続けていくことは、なかなか難しいことと言われています。
そして最後に自己破産を選ぶ場合ですが、自己破産の場合には残念ながら持ち家に住み続けることはできないでしょう。
これはマイホームを含めた財産について、一定の条件内のものを除いたすべてのものをお金に換え、債権者に配当しなければならないことによります。
マイホームには抵当権が付いているので、お金に換えたとしても住宅ローンの債権者が優先的にお金を回収できることになります。
もしも住宅ローンの残高よりもマイホームを売った金額が高いのであれば、その差額はほかの債権者と分配されることになるでしょう。
自己破産をするに当たりなんとか家だけでも残せないだろうかと考えて、親族に買い取ってもらったり、自己破産を行う前に自分名義の家を他人名義に移したり、夫婦が連名で住宅ローンを借りるなどの手段を考える人もいますが、違法にもなりうることであり、安易に考えるのはやめましょう。
債務整理を弁護士に依頼することになった場合には、マイホームのことも含めてしっかりと相談することが大切です。
弁護士もマイホームを残すためにはどういう方法がとれるかなど、慎重に考えた上でより良い案を提供してくれることでしょう。