債務整理にはデメリットも存在する?
途方もない借金はいつ返済し終わるのか、借金を抱える人にとっては辛い日々です。
そうした人たちにとって債務整理は借金返済から抜け出す現実的な選択肢と言えます。
ただその債務整理もデメリットは存在します。
それぞれの方法によってデメリットも違うため、自分たちにあったやり方を探してそれに突き進むことが必要です。
最も有名な「自己破産」のデメリットとは?
債務整理には自己破産や任意整理、個人再生があります。
中でも一番有名なのが自己破産です。
自己破産をすることで莫大な金額の借金があってもそれが帳消しされます。
生きている間には絶対に返せそうにない金額を借金として背負っても、自己破産によってそれがきれいになくなってしまいます。
ただ、そんな強力なものにはそれなりのデメリットがついて回ります。
就職面におけるデメリット
まずは一部の職業に就けないという問題です。
破産手続開始の決定から免責の決定までの期間は警備員などの仕事に就けません。
一部の公務員や団体職員も対象となっており、自己破産で職を失ってしまいます。
破産手続開始の決定から免責まではだいたい数か月です。
この数か月間は自己破産していることが欠格事項に該当する職業には就けません。
普通のアルバイトなどは特に問題なく、公の職業とは関係ない人にとっては気にする必要はないデメリットです。
ただ今まで警備員をしていた人などは自己破産をしたことでそれまでの仕事を手放してしまいます。
もし自己破産をする場合にはその後の職業をどうするか、しっかりと考えておく必要があります。
あるところに掲載されるデメリット
他にも官報に掲載されるデメリットもあります。
官報には破産手続開始の決定と免責の決定の2回で公告されます。
官報は誰でも簡単に閲覧できるため、下手をすれば知り合いに見られてしまう可能性があります。
ここには自己破産をした人物の名前と住所が記載されています。
それを見た闇金業者がダイレクトメールなどを送りつけるケースもあるなど、知られたくない人に知られる可能性があります。
一方で財産が残っている管財事件では手紙が管財人のもとへ転送されて見られてしまいます。
借金返済がすぐにできる分、それだけのデメリットやリスクがあるのが自己破産です。
「任意整理」のデメリットとは?
次に任意整理です。
任意整理は裁判所を通さずに行うため、官報に掲載されることもなければ、どんな職に就いていても失職するようなことはありません。
一見するとデメリットは少なそうに見えますが、このやり方にもそれは存在します。
減額幅に関するデメリット
まずは借金の減額幅の問題です。
任意整理で借金が減額されるメカニズムは過払い金があり、それで借金を圧縮するケースです。
過払い金は本来の税率と当時のグレーゾーン金利のギャップによって生じたものであり、そのギャップが埋められてから借金をした場合、思ったような過払い金が発生していないことが考えられます。
過払い金があまりない場合は窓口となる弁護士や司法書士と金融機関の話し合いで元金だけを返済するなどの話し合いを行います。
ここで金融機関が元金だけの返済でいいことを約束すれば債務者は元金だけを返していきます。
毎月の負担は減りますが、それでも劇的に減るわけではありません。
しかも不調に終われば長期化の恐れも出てきます。
決まった収入があることが条件であり、それがないと相手は応じません。
他にも最長5年での返済が求められるなど、働きながら借金返済が可能な人にはおすすめでも返済能力が乏しい人にはデメリットが大きいやり方です。
「個人再生」のデメリットとは?
個人再生のデメリットは利用できる人が限られている点です。
借金の一部を棒引きされるといっても、2割程度が残され数年間で返済することが条件です。
定期的で変動の少ない収入の職業に就いていないと難しく、失業状態では利用できないやり方です。
手続きも面倒で専門家に頼まなければなりません。
債務整理の中では専門家に支払う費用は一番高い部類であり、それでいて過半数の債権者の同意が必要です。
しかも当事者の借金だけが対象であり、保証人がいるケースでは保証人の分までは対象になりません。
保証人に迷惑が被る可能性は十分に考えられます。
自己破産と同様に個人再生もまた官報に掲載されます。
職業制限こそありませんが、保証人への影響はどちらでも大きく家族を保証人にしていた場合は深刻な問題を残すことも考えられます。
任意整理 or 個人再生どちらを選ぶべき?
任意整理の場合はそうしたことがないため、できれば任意整理の形で借金返済を模索していくことがより現実的です。
ただそれができるのは借金の額面がそこまで大きくない時に限られており、金額がより高額になった場合は任意整理ではどうにもならないこともあり得ます。
このようにそれぞれでデメリットがありますが、一戸建てを所有している場合には個人再生によって家を守ることができるなどそれぞれにメリットもあります。
また借金の額が数千万単位、億を超えるようなレベルになると債務整理の選択肢も限られます。
これらの状況を踏まえて債務整理のやり方を選んで、借金返済に向けた動きを強めていくことが求められるのです。