任意整理で借金を解決
返済しきれなくなった借金を解決する手段として「債務整理」があります。債務整理とは一定のルールに基づいて、合法的に借金の返済負担を軽減する制度です。債務整理にはいくつかの方法がありますが、最も利用されているのが「任意整理」です。
任意整理は債務整理の9割を占めている手続き方法で、債務整理といえば任意整理のことを指すといっても過言ではありません。任意整理で借金そのものは減額されないのですが、返済負担は大きく軽減されます。返済が追いつかなかった借金も任意整理で見直せば問題解決の道が見えてくるでしょう。
任意整理が選ばれる理由
任意整理が選ばれる理由としては、以下の様なものが挙げられます。
- 解決までのスピードが早い
- 費用が安い
- 成立する可能性が高い
任意整理は名前にあるように任意の話し合いによって成立する債務整理で、裁判所など公的な仲介を必要としません。そのため当事者間で合意形成に成功すれば、手続きを開始したその日のうちに成立させることも理論上は可能です。実際には交渉や手続きにある程度時間がかかりますが、平均で2~4週間程度と他の債務整理法よりも短期間で借金を減らせます。
弁護士などに代理人を依頼しても費用は比較的安く、借金額にもよりますが数万円程度で依頼することもできます。成立件数が多く過去の事例も豊富なので、業者側との交渉がこじれる可能性も低く、成立する可能性が高いのも多くの人に選ばれる理由のひとつです。
任意整理で借金が軽減されるメカニズム
任意整理では借金の元本は減らせないものの、将来利息のカットによる返済負担軽減には応じてもらえます。本来受け取れるはずの利息を放棄するという不利な条件で債務整理に応じるのは、債権者側が一方的に損をしているように思えます。なぜ債権者は任意整理に応じるのでしょうか?
債権者は自己破産されたくない
債権者が任意整理を受け入れるのは、「債務者に自己破産手続きされたくない」というのが大きな理由です。
自己破産は債務整理の中でも最も強い影響力を持つ手続きです。自己破産が成立するとその時点ですべての債務が免責、つまり借金がチャラになります。お金を貸していた債権者は債務者に自己破産されると貸付金を回収できず、丸損になってしまいます。
債権者は貸付金の全額が回収不能という最悪の事態だけは避けたいと考えるので、将来の利息分を放棄してでも任意整理を受け入れて、自己破産させずに残債を回収したほうが得になるのです。
将来利息は失っても以前の利息はそのまま
債権者にとっては任意整理に応じると将来利息分を損することになります。しかし、任意整理手続きに入る前に加算された利息については、そのまま返済義務が継続されます。将来利息分は失ってもこれまでの利息分は確定するので、全くの損というわけではありません。
返済期限の見直しによる損失も発生しますが、返済が継続する利益と比較すれば任意整理に応じるメリットがあるのです。
過払い金返還請求による損失は織り込み済み
任意整理では過去にグレーゾーン金利が適用されていた利息分、いわゆる過払い金の返還請求を行って債務の減額を目指します。債務者としてはいかに過払い金を取り戻すかが任意整理のコツになるのですが、債権者からすると過払い金に関しては争う余地のない問題なので、損失はあらかじめ織り込み済みです。
債務者から見れば借金を減らすコツではあっても、債権者にとっては法律に従って粛々と返還するだけなので、大きな損失にはなりえません。
過払い金を返済に回して借金を計算し直す引き直し計算で元本が減額されるのは、債権者にとって大きなメリットですが、債権者にとってもデメリットではありません。交渉の余地はないのでトラブルを起こすことなく、任意整理による借金減額が成立します。