司法書士の役割は?
債務者が多額の借金を抱えて返済が困難な場合に、借金の減額や免除を受けるための手続が債務整理です。
債務整理の手続には任意整理と特定調停、民事再生、自己破産が存在します。
手続を債務者自らが行うことも可能ですが、通常は専門家である弁護士や司法書士に依頼します。
任意整理は債権者と債務者が私的に協議を行う手続です。
交渉が成立した場合には和解契約書が作成されます。
債務者は和解契約書に基いて、減額された債務を計画的に返済していくことになります。
仮に債務の返済が滞ったとしても、和解契約書は債務名義ではないため直接的に強制執行されることはありません。
債務者が債務整理を行う場合には、まず任意整理を行うのが一般的です。
任意整理で交渉が成立しない場合には、他の手続を行います。
代理して交渉に当ってくれる
弁護士や認定司法書士は債務者を代理して交渉に当たることができます。
債務者自身が交渉を行うよりも専門家に依頼した方が効果的です。
弁護士の役割は?
弁護士であれば債務額に関わらず交渉代理人になることができます。
認定司法書士の役割は?
認定司法書士とは簡裁訴訟代理関係業務を行うことができる者を指します。
簡裁訴訟代理関係業務とは簡易裁判所において行われる請求額が140万円までの民事紛争に関する民事訴訟や和解、支払督促、民事保全、民事調停などのことです。
請求額が140万円以下であれば、代理人として少額訴訟債権執行を行うこともできます。
民事事件における代理人は、当事者の代わりに簡易裁判所に出廷し、弁論や和解に応じます。
認定司法書士は請求額が140万円以下の民事紛争について、代理人となり簡易裁判における手続や裁判外での解決のための手続を行います。
司法書士が認定を受けるには?
認定を受けるためには国が定める特別な試験に合格することが必要です。
任意整理は当事者間で行われる私的な協議でしたが、特定調停は裁判所の介入を受ける形で協議が行われます。
裁判所が介入するので、最終的には債務名義となる調停調書が作成されます。
任意整理と特定調停は当事者間の協議であるという点では共通していますが、特定調停の場合は裁判所が関与するという点に違いがあります。
特定調停によって作成される調停調書は債務名義なので、返済を怠ると直接的に強制執行される可能性が存在します。
最初に債務名義が作成されない任意整理を試した上で、交渉が成立しない場合には特定調停を行うのが合理的な方法です。
民事再生は5000万円以下で住宅ローン以外の債務を減額するための手続になります。
この手続でも裁判所を通して行われ、住宅ローン以外の債務を大幅に減らすことができます。
自己破産をした場合には住宅など基本的な財産を処分する必要がありますが、民事再生を選択した場合には住宅を手放すことなく債務の返済ができるというメリットがあります。
自己破産は基本的な財産を換価処分して債権者に分配する代わりに、債務の全額免除を受ける手続です。
その他の債務整理手続では債務額が減額され、残りの債務を返済する必要がありました。
しかし自己破産の場合には一切の債務が免除されるので、完全に負担から解放されます。
多額の債務を抱えて返済が不可能になった場合には、自己破産を選択することになります。
基本的に債務の返済が続くその他の手続では、利用するのに一定の収入が必要です。
自己破産の場合には債務全額が免除され返済の必要がなくなるので、収入がなくても利用できます。
また自己破産によって財産を処分するため、手続後は生活保護を申請できるようになります。
自己破産を選択すれば、全ての負担から解放されるため生活を再建できます。
債務整理には任意整理と特定調停、民事再生と自己破産の4種類が存在します。
弁護士であれば債務額に制限なく手続を代理できます。
債務額が140万円を超える場合には弁護士に手続を依頼する必要があります。
弁護士は代理行為に法律上の制限がなく、専門的知識を有しているので安心して依頼できます。
また自己破産では少額管財事件手続ができるので、予納金が20万円で済みます。
自己破産には管財事件と同時廃止事件が存在します。
管財事件では裁判所が破産管財人を選任し、破産者の財産の調査と管理、処分、配当を行います。
同時廃止事件では破産管財人は選任されません。
破産手続の開始と同時に手続が廃止され終了します。
少額管財は管財事件について裁判所に支払う予納金を、通常の管財事件よりも少なくて済むようにしたものです。
弁護士に手続を依頼すると様々なメリットがありますが、素人には心理的に敷居が高いのと費用がかかるというデメリットも存在します。
司法書士は扱える事件に制限がありますが、心理的に利用しやすく費用も安いというメリットがあります。
認定司法書士が扱える事件は債務額が140万円以下のものに限られます。
基本的に費用を抑えることができますが、事件によっては契約を途中で解約して弁護士との再契約が必要になる場合も存在します。
債務整理の手続を依頼する場合には債務額に注意する必要があります。