債務整理で重要な利息制限法とは?
借金の返済が厳しい時にとる最終手段として債務整理があります。
債務整理には任意整理、個人再生、自己破産があり、債務状況や資産状況などによって選択するべき方法は変わります。
全額返済は難しいけど、いくらかなら返済できる目処がある場合は任意整理を選択します。
債権者を分けて整理でき、利息分を免除をしてもらい残りを返済していく方法です。
事故情報(ブラック)には記録されますが、任意整理により失う財産はないので最も手軽でデメリットが少ないとして利用者が多くなっています。
返済できる目処がある場合は個人再生を
債務額が多きすぎてかなり減額してもらわないと返済は難しいけれど、返済できる目処がある場合は個人再生を選択します。
債務を5分の1もしくは100万円のいずれか多い方まで減額(債務3000万円以上は10分の1まで減額)され、残りを返済していく方法です。
5000万円以下の借金にしか利用できず、事故情報にも記録されますが、最大で100万円まで借金を減らせて個人再生により失う財産もありません。
返済能力が見込めない場合は自己破産を
収入がなく返済能力が見込めない場合は自己破産を選択します。
現在抱えている全ての債務を免除する方法です。
自己破産を開始できる債務額の制限はなく、債務者の返済能力によって判断されます。
一番メリットがあるが、財産の有無によってはリスクが大きくなる。
借金をチャラにできるという点では一番メリットがありますが、もちろん事故情報には記録されますし、一部の財産を残して後は処分されるため、財産の有無によってはリスクが大きくなります。
さて、多額の借金を抱えた時はどうやって返済していこうか・・・ということにしか意識が向きませんが、実は払わなくても良かった返済額があることにはあまり気づいていません。
もしも払う必要がない借金があるなら、その分の債務額は手続きをするまでもなく引いてもらえますし、すでに払っている債務があれば返してもらうこともできます。
それが過払い金と呼ばれるお金です。
過払い金とは文字通り払いすぎたお金のことで、ここでは本来は払う必要のない利息分のことを言います。
賃借契約ではお金を貸す手数料として金利がつき、金利に応じた利息を払うことになります。
しかし、金利はどのくらいでもいいというわけではなく、法律により上限が定められており、この法律を利息制限法といいます。
利息制限法における上限とは?
利息制限法では元金10万円未満は年利20%が上限、元金10万円以上100万円未満は年利18%が上限、元金100万円以上は年利15%が上限としています。
いかなる場合も利息制限法の金利上限を超えて貸付をすることは禁止されていますが、万が一上限を超える貸付を受けたことで超過して払った利息は無効になります。
例えば50万円を借りた場合の最大年利は18%までですが、年利20%で貸付を受けていた場合は年2%分の超過分が無効になり、正式に請求をすることで返してもらうことができるというわけです。
まずは過払い金の有無を確認することから
債務整理をする場合は、過払い金の有無を確認してから始めなくてはいけません。
任意整理の場合は過払い金調査も手続きの中に含まれているので個別に依頼しなくてもやってもらうことができますが、個人再生や自己破産は個別に確認する必要があるでしょう。
もしも過払い金が認められれば、債務額の中から過払い金分を減額することができます。
数百万円の過払い金が生じている債務者もいるので、人によっては債務整理をする必要なく借金の返済を終わらせることができる、更に言えばお金が手元に戻る可能性もあります。
そのため、事前に必ず確認しなくてはなりません。
ちなみに、過払い金の原因となった出資法の内容が2010年に改正されています。
出資法とは年20%を超える貸付をした場合、刑事罰に処すとした法律です。
法改正以前は出資法の上限が年29.2%だったため、利息制限法との金利上限と大きな差が生じ、その差率がグレーゾーン金利として過払い金の原因になっていました。
つまり当時は利息制限法の上限(年20%)を超えても出資法の上限(年29.2%)を超えなければ刑事罰に処されることはなかったのです。
とはいえ利息制限法を超えるのは違法には違いないので債務者が自ら請求することで超過した利息分を返還する義務がありました。
この請求を過払い金請求といいます。
過払い金の存在自体があまり知られていなかったので、過払い金請求をする債務者も少なく、貸金業者にとってはいい儲けになっていたわけですね。
2010年以降は貸金業の規制の厳しくなったため、正規の貸金業者を利用している限りは過払い金が発生する可能性はありません。
そのため、あくまでも2010年以前に借り入れをしていた場合に過払い金が発生していると考えられます。
ただし全ての人に発生しているものでもないので過払い金調査が必要なのです。
過払い金調査は引き直し計算をすることで自分で確認することもできますが、弁護士や司法書士に依頼するのが一般的です。
債務整理自体、法律家に依頼するのが普通なので一緒に相談してみましょう。