自己破産者は海外に出られないっていう噂は本当か?
自己破産者にはいろいろな制限がかけられてしまうことは一般的に知られています。
例えば信用情報に記録が残るので、住宅ローンやクレジットカードの審査に通らなくなるというのは有名です。
その制限の中には、海外に出ることが出来ないという噂もあります。
あくまでも噂なのか、それとも本当なのかということを疑問に持つ人は多いでしょう。
事の真偽はというと、本当です。
事実を正確に把握しよう
ただし、永久に出られないというわけではなく、ある時期を過ぎるまでは出られないというものです。
自己破産をしたら自由に使えるお金がなくなるから海外に出られないと思う人もいるでしょうが実際のところは別の理由です。
自己破産は最初に必要な書類を揃えて、管轄する地方裁判所に申し立てをします。
管轄する地方裁判所というのは住んでいるところと住民票の住所が異なることがありますが、そのときには住んでいるところが基準です。
そうして申し立てた内容を元に、借金を返すことが出来ない理由などを尋ねられます。
これを審尋といいます。
免責不許可事項がないかも確認した後、審尋の結果から破産が決定します。
海外に出られない理由とは?
ここからが海外に出ることが出来ない理由に関わってくるのですが、破産が決まると手続きが始めるのと同時に破産管財人が専任されることになっています。
破産管財人の役割は、換金する事ができる財産があって債権者に分ける事ができるときに、その財産を管理することです。
財産がなくても隠し財産や浪費など本当に免責できるのか調査しなければいけないときにも専任されることがあります。
この破産管財人が専任されてるまでは、引越しや長期の旅行に出かけることは裁判所の許可なしには認められません。
つまり海外に出ていくことも自由に出来なくなります。
絶対に出られない訳ではない
とはいえ、破産手続きをしている最中に海外に行くというのはモラルを疑われますが、それで手続きが認められなくなるということはありません。
裁判所に許可を求められたならば、認めてくれるケースが多いです。
それに破産管財人が専任されるのは家や車などの財産があるからで、一般的な家庭で借金で困っているのであれば破産管財人が専任されないケースもあります。
同時廃止とは?
破産手続きの開始されても破産管財人が専任されないことは同時廃止と呼びます。
同時廃止になれば、破産手続きの開始と同時にすべての手続は終了です。
財産があって破産管財人が必要となる場合を管財事件といいますが同時廃止の場合には現在持っている財産は、売り払うことなく自分のもののままです。
同時廃止を行う基準とは?
破産法によれば破産手続きをして破産管財人に支払う報酬などの必要な経費として、20万円の予納金を納めなければいけません。
同時廃止をする基準としては、この20万円を支払えるかどうかで判断されます。
差し押さえられている財産以外で、自由に使えるお金が20万円もないというときにはそこで破産管財人を専任することなく同時廃止となります。
つまり自己破産に関わる手続きは全て終了します。
そうなれば、旅行や引越しに対する制限はなにもなくなるので、国内であろうが海外であろうが好きなところに行くことが可能です。
破産管財人が専任される場合は?
話を同時廃止が行われずに破産管財人が専任される場合について戻して、どのくらいの期間で制限を受けてしまうのかというとまず申し立てをしてから審尋と破産手続きの開始が行われるまでには1週間から1ヶ月位かかります。
裁判所は破産手続きを介すると同時に破産管財人が専任するので、その期間が制限を受ける期間ということになります。
もし無断で海外に出るとどうなる?
仕事などでどうしても長い間日本を離れなくてはいけないときには、裁判所の許可を得るわけですが、もしも許可を得なかった場合にはどうなるのかというと1年以下の懲役あるいは5万円以下の罰金ということになっています。
黙っていればわからないと思わずに、必要な手続きは行なうようにしましょう。
ならば、長期間ではない場合にはどうなのかということですが、数日の間であれば弁護士など破産手続きを助けてもらっている専門家と相談の上であれば何事もなく行くこともできます。
ただ日数が明文化されていないわけでないので、やはり許可を得他方が良いことは変わりません。
海外に出る理由に注意
もう一つ気をつけなければ行けない点として、何のために行くのかということがあります。
というのも自己破産では免責不許可事項という破産が認められない事項があります。
その中に浪費があるからです。
もしも、借金で苦しんで破産をしたいというときに、遊びのために国外へ行くということになれば浪費と見なされて免責不許可事項に引っかかってしまう可能性もあります。
それはケースバイケースなので絶対ではありませんが、返済で苦しんでいるときにそれを台無しにするような行為は避けておくほうが無難です。
なお、破産手続き中の制限については、家族に対して影響はありません。
配偶者や子どもは自分の意志で好きなところに行くことが出来るので心配はないのです。