ギャンブルで借金まみれの夫と離婚したい!慰謝料は請求できる?
夫がいつの間にかギャンブルに依存するようになってしまった、という悩みを持つ人は、実は珍しくありません。
また、あまりにもその度合いがひどく、遂には借金をしてまでのめり込むようになると、生活や子供の教育への影響から、離婚を考えるのも仕方のないことだと言えます。
この記事では、ギャンブルがもとでの借金を繰り返す夫と離婚するためのポイントや、慰謝料請求などについて解説します。
ギャンブルでの借金は離婚の理由になる?
ギャンブルにのめりこみ、借金を止めない夫との離婚を望むのであれば、まずは夫に離婚に同意するかどうかを確かめなければなりません。
もしここで素直に離婚に応じてくれるなら、後は財産分与や慰謝料、子供がいるなら親権や養育費といった具体的な条件のすり合わせです。
しかしここで同意が得られなかった場合、家庭裁判所に離婚調停の申立をする必要が出てきます。
このとき重要なポイントとなるのが「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するかどうかということです。
結婚は契約の一種であり、婚姻関係となったその日から、夫婦は互いに結婚生活を維持するため協力し合うことが義務となります。
つまり、夫がギャンブルによりこの義務を守ることができない状態であれば、離婚に必要な「重大な事由」になり得るのです。
例えば、給与を右から左へギャンブルに注ぎ込んでしまい生活費を渡さない、クレジットカードや個人ローンで借金を重ね、その支払いが生活費を圧迫する、仕事にすらいかなくなったなどはこれにあたります。
そこで大切になるのが、こうした状態が第三者の目にもはっきりとわかる証拠です。
最後に生活費を渡された日付やその金額などはしっかりとメモしておきましょう。
通帳はこまめに記帳し、預金残高の増減が把握しやすいようにします。
クレジットカードの利用明細が残っていれば、それも保管しておいてください。
慰謝料や養育費は請求できる?
婚姻期間中にパートナーから受けた肉体的、精神的な苦痛に対しては、損害賠償のための慰謝料請求が可能です。
もちろん、夫のギャンブルと借金で生活の維持を困難にされて離婚に至った場合も、こうした苦痛を受けたとして慰謝料を請求することはできます。
相手は借金を背負っていたとしても、これを拒むことはできません。
しかし資金力のない人から希望通りの支払いを受けることは、現実問題として非常に困難となります。
慰謝料にも相場と言うものがあり、その額は一般的な家庭の場合、50万円~300万円程度です。
この範囲内で金額を算出し、請求を行うことになりますが、このときに相手の資金力が考慮されます。
また、相手がその後自己破産したなら債務は免責となり、慰謝料も債務とみなされるため支払い責任がなくなってしまうのです。
一方、養育費については請求し続けることができます。
養育費は子が親に対して要求できる権利であり、債務ではないためです。
ただしこちらについても、相手の経済状況が問題となることに変わりはありません。
慰謝料や養育費の請求は、こうしたリスクを念頭に置いたうえで行ってください。
借金が原因の離婚ではこんなことに注意が必要
借金を原因とする離婚では、まず自分にも借金に対して返済責任や義務がないかを確認することが大切なポイントです。
婚姻期間中に、生活に必要なものを買うために作った借金については、妻も連帯責任を負います。
また、借金の連帯保証人になっていたときには、返済の義務があるのです。
こうした理由で借金の返済に巻き込まれることを防ぐため、金銭の出入りについてはどんな小さな証拠も集め、不審な書類にうかつにサインしないよう気を付けなくてはなりません。
なお、調停で合意に至ったときには、金銭に関わるものは必ず公正証書にしましょう。
ギャンブル依存は簡単に抜けられるものではありません。
離婚後、相手に給与が入ったとしてもギャンブルに浪費され、支払いが得られない可能性は低くないのです。
金銭に関わる取り決めを、強力な効力を持つ「強制執行認諾文付きの公正証書」として作成しておけば、こうした場合にも相手の給与を差し押さえて、支払いを受けることが可能になります。
ただし相手が自己破産を行ってしまうとそちらの効力が上回るため、養育費や婚姻費用など「非免責債権」にあたるもの以外は請求できなくなることに注意してください。
夫のギャンブルによる借金での離婚や慰謝料請求は、一人で悩まず専門家に相談を
ギャンブルで借金を繰り返し、生活を圧迫する夫との離婚を考えるとき、妻が一人で事態に対処することは、大きな負担を伴います。
離婚への同意を得られたとしても、慰謝料や養育費の交渉は難しい問題です。
また同意が得られない場合、調停の申立やその後の交渉など、いずれにしろ駆け引きや法律の知識が必要になります。
そんなときは専門家を頼りましょう。
一人で悩まず、まず弁護士に相談してください。