上限利息に引っかかっていない場合、債務整理の相談はできるのか?
債務整理は、上限利息に引っかかっていない場合でも相談できます。
基本的に、利息や金利の問題が浮上するのは任意整理を相談した時であるため他の手続きを相談した場合には関係ありません。
債務整理の定義を勘違いしている人が多い
債務整理に関しては勘違いをしている人が非常に多いですが、債務整理という法律的な手続きはそもそも存在しません。
債務に関して減額を請求できる、あるいは免責をしてもらえる手続きを総称して債務整理と呼んでいるだけです。
その中でも、特に上限利息やいわゆるグレーゾーン金利に関しての解決策として任意整理という手段が提供されているにすぎません。
例えば、多額の借金を抱えてその債務を全てなかったことにしたい場合には自己破産という手続きを利用することが可能です。
全ての案件を同じ手続きで解決するわけではありませんので、勘違いをしないように覚えておきましょう。
上限利息が絡むものは、債務整理のごく一部だけ!
上限利息に関して問題のある案件は、一般的に過払い金問題と言われています。
これは、利息制限法と出資法という二つの利息と金利に関連する法律によって生じるとても厄介なトラブルです。
従来まで、個人の消費者に対する少額融資には利息や金利に関する確固たる法律が決められていないという問題点がありました。
お金を貸す貸金業者は利息制限法と出資法の二つの法律から好きな法律を選択し、それに基づいた利息を債務者から請求していたのです。
問題だったのは、この二つの法律の金利の上限に差が存在していたことです。
債権者としては、出資法で利息を要求する方がより多くの返済金を貰うことができたためこの法律を好んで利用しました。
こうして生じた利息制限法と出資法の上限利息の違いを、一般的にグレーゾーンといったわけです。
こうした問題点を行政も黙って見過ごしていたわけではありません。
過払い金問題は社会的な問題にまで発展しましたので、行政も貸金業法を改正して利息制限法を中心とした融資を提供しなくてはならないと法改正を行いました。
これによって、消費者は安全に貸金業者からお金を借りることができるようになったわけです。
法改正によって問題となったのが、借りていた側(債務者)の立場。
ところが、ここで問題となったのがそれまでお金を借りていた債務者の立場です。
法改正が行われたことによって、実はそれまで支払っていたグレーゾーンでの返済金が法律違反であるということになりました。
債務者としては、無駄なお金を返済してしまったのですから当然その返済金を返還して欲しいと願い出ます。
しかし、既に返済した金銭に関して債務者から債権者に対して直接的に返還請求を行うのは難しいという現実もあります。
そこで、任意整理という手続きによって過払い金の返還請求ができるようにしたのです。
債務整理における本来の目的は?
本来、債務整理というのは債務者の借金の負担を減らすことを目的として提供しています。
言い換えれば、借金の減額や免責を目的としているのです。
一方で、過払い金における任意整理というのはその真逆で債権者に対して金銭の返還を要求する手段として利用されています。
ですから、任意整理は上限利息に関連する特殊な手段として他の手続きとは少し異なった立場にあるわけです。
他の手続きと任意整理の大きな違いとは?
では、他の手続きと任意整理の大きな違いとは何なのでしょうか。
債務者の観点から述べると、この違いは二つ存在します。
一つ目
一つ目は、本来ならば必要となる裁判所での手続きが必要にならないことです。
借金の減額処置を求める際に煩わしいのは、本当に債務者の手続きに正当性が存在するのかを裁判所が判断しなくてはいけないことです。
仮に、債務者が財産を保有している場合には管財事件として取り扱わなくてはいけないので実は手続きを行うのに時間がかかってしまうという側面も存在します。
一方で、任意整理は裁判所ではなく債権者と直接的に議論をすることで手続きを行うことができるメリットがあるのです。
本来なら必要になる裁判所への手続きを簡略化して、債権者と債務者の契約の更改のみで新しい法的な効果を発揮できます。
この点は、他の手続きにはない魅力といえます。
二つ目
そして、二つ目の違いはかかる費用が非常に小さいことです。
確かに、自己破産や個人再生といった強制的な減額処置は魅力的なのですが費用が高くなってしまうという側面があります。
相場で述べれば30万円から40万円程度必要になりますので、単純に利息や金利の問題を解決するためだけにこれらの手続きを利用すると大きな支出になってしまいます。
一方で、任意整理の費用は1社あたりでわずか3万円程度しかかかりませんので、相場で述べれば自己破産などの10分の1で実施できます。
手軽に手続きができる上に費用も安いため、相談をするとまずこの手続きが利用できるかどうかを判断するわけです。
まとめ
このように、上限利息の問題は使いやすさの観点から任意整理が利用されているだけという背景があります。
その他の借金のトラブルに関しては他の債務整理の手続きが使えますので、相談して無駄になるようなことはないでしょう。